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「相手から円満調停を起こされたんですが、離婚したいんです」という相談を受けることがあります。
そのような円満調停を起こされた場合に、こちらからも離婚調停を申立てるべきでしょうか?
結論から言うと、法的には離婚調停を申立てる意味はありませんが、申立てた方がよいと考えます。
理由は2つあります。
1つは、離婚調停を起こすことで、調停委員と相手方に離婚意思を明確に示すとともに、離婚条件を伝えることで、調停1回目から離婚について具体的な話ができる可能性があるからです。
もっとも、円満調停に対して、書面で明確に離婚意思を示す答弁書を提出し、離婚条件について記載しても同様の効果が狙えます。
もう一つは、相手が円満調停を取り下げると困るからです。
日本の法律では、いきなり離婚訴訟はできず、まずは調停を申立てて、それが不成立となった場合に訴訟ができることになっています(調停前置主義)。
この調停は、円満調停の不成立でもいいのですが、こちらが離婚意思を示した途端、相手が円満調停を取り下げると、その調停はなかったことになるので、また一から調停のやり直しとなります。
このようなことに対応するために、念のために離婚調停を申立てておいた方がよいでしょう。
なお、既に円満調停を3回、4回と続けているのであれば、わざわざ離婚調停を申立てる必要はないと考えます。
なぜなら、調停前置の要件は、必ずしも不成立となる必要はなく、裁判所で話し合ったけれども合意に至らなかったといえればよいからです。
ですから、調停が3回も4回もあったんだといえれば、調停前置の要件は満たして離婚訴訟ができるからです。
上記とは逆に、「相手に離婚調停を起こされたんですが、離婚したくありません」というご相談もあります。
この場合は、円満調停を申立てることとお勧めします。
なぜなら、近年、裁判例の離婚理由として、「被告は離婚したくない旨主張するが、原告との関係修復のために行動した形跡がない」とか、「被告が離婚したくない理由は、もっぱら経済的理由である」といった趣旨のものが散見されるため、夫婦関係修復に向けて行動していることをアピールしたいからです。
個人的には、人の本心なんて裁判所で少し話しただけでは分からないし、弁護士が介入すれば、むしろ当事者同士で直接やり取りはできないのに、関係修復の努力が見られないとか、離婚したくないのはお金のためだとかいう判決自体がどうかと思いますが、少数とはいえ、このような裁判例がある以上、本気で離婚したくないならば、安全策として円満調停を申立てた方がよいと考えます。
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