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相手方が無職だったり、収入を隠して明らかにしようとせず、実際の収入が不明な者の養育費はどう計算すれば良いのでしょうか?
相手が無職でも、高額の資産があったり、不労所得がある場合、または、離婚直前に離職したような場合、相手の収入をゼロとして養育費を算定するのは不公平です。
この場合、働けるのに働かないと考えられる場合には、これまでの収入や賃金センサスの該当金額を養育費算定表に当てはめて算定されます。
「賃金センサス」とは、厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」の通称です。
元の統計にリンクを張っておきましたが、参考として、平成25年の全学歴の平均年収を以下に記載しておきます。
学歴や職業によっては下記表より平均収入が多くなるので、その場合は、該当金額で主張します。
各種条件下での金額は、リンク先の「統計」というエクセル資料をダウンロードして確認してください。
| 年齢 | 男女計 | 男性 | 女性 |
| ~19歳 | 230万2800円 | 241万2500円 | 212万2100円 |
| 20~24歳 | 296万1600円 | 313万4200円 | 277万2700円 |
| 25~29歳 | 369万4700円 | 391万2200円 | 335万9400円 |
| 30~34歳 | 421万8300円 | 454万0000円 | 355万7400円 |
| 35~39歳 | 475万3000円 | 518万0500円 | 376万0200円 |
| 40~44歳 | 526万4200円 | 585万1200円 | 384万6200円 |
| 45~49歳 | 568万1200円 | 643万5900円 | 394万7600円 |
| 50~54歳 | 583万1100円 | 668万1300円 | 388万0800円 |
| 55~59歳 | 549万3900円 | 623万5700円 | 368万8900円 |
相手が収入に関する資料を隠して出さない場合、会社員や公務員であれば、勤務先への調査嘱託を申立てます。
調査嘱託とは、調停や訴訟で、裁判所に対して調べてくださいという申立てをし、裁判所が照会先に照会文書を送る手続きです。
勤務先は、裁判所からの照会であれば収入資料を開示するので、その資料に従って養育費を算定することになります。
もっとも、たいていの場合は、調査嘱託を勤務先に対する調査嘱託を申立てた段階で、相手方が任意に提出するので勤務先への調査嘱託はやめてほしいと言ってきます。
厄介なのは、自営業や一人会社の場合です。
この場合は、紹介先がありません(税務署や役所は、たとえ裁判所からの照会であっても回答しません)。
そのような場合は、古い収入資料が入手できるのであれば、そこに記載の収入が現在もあると推定したり、住民税が分かるのであれば、そこから逆算したり、家計簿から収入を推定したりします。
そのようなことをしても、どうしても分からず、裁判所の訴訟指揮にもかかわらず相手方が収入資料を開示しない場合は、賃金センサスを養育費算定表に当てはめて算定することもあります。
専業主婦の方が離婚する場合は、離婚時は無職ですが、離婚後は何らかの手段で収入を得ることになります。
そこで、養育費算定に当っても、働ける方の場合には、ある程度の収入が見込めることを前提に算定されます。
ただ、専業主婦だった方に全学歴の平均賃金を求めるのは酷ですから、短期労働者の性別、年齢別の平均を基準とすることが多いです。
具体的には、120万くらいのパート収入があると仮定して、養育費算定表に当てはめて算定します。
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