宗教活動を理由とする離婚
信教の自由は、憲法上認められている自由ですが、相手の宗教活動を理由として離婚が認められるでしょうか?
まず、どのような宗教を信じるのかは自由ですから、心の中で信じる分には離婚理由とはなりません。
しかし、その宗教の信仰が、何らかの行動をともなう場合には、その行動によって夫婦関係が悪化したとして離婚が認められる場合があります。
では、どのような行動があれば離婚理由となるかですが、裁判例では以下の事情を総合考慮して判断されています。
・宗教活動に費やす時間などの程度
・家庭生活への影響の程度
・夫婦の協力義務に違反するといえるような行動の有無
・子供の年齢
・別居の期間
上記のような事情を総合考慮して裁判官が決めるので、同じような事情でも離婚が認められている裁判例と認められなかった裁判例があります。
また、宗教そのものが家庭生活に具体的な影響があったというよりも、妻の信仰に対し、夫が10年以上にわたりやめるように説得しようとし、夫婦関係が悪化した事案について、離婚が認められているものもあります。
相手の宗教活動を理由として離婚する場合の慰謝料ですが、宗教活動のみを理由とする場合は、価値観の相違ということで、慰謝料が認められないことがあります。
そのような価値観の相違を超えて、相手に執拗に電話をするとか、暴力を振るうなどの行為が認められる場合には、他の離婚理由の場合と同様に離婚慰謝料が認められます。
【関連コラム】
監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。