遺留分権利者に損害を加えることを知ってなした贈与とは?

2017-10-30

民法第1030条は、遺留分減殺請求の対象となる財産について、被相続人死亡時の財産だけでなく、「贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限り、前条の規定によってその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、1年前の日より前にしたものについても、同様とする。」と定めています。

 

では、ここでいう「遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をした」とはどういうことをいうのでしょうか?

 

この点については、争われた裁判例が多数あり、多少の言い回しの違いはありますが、おおむね以下のように判断しています。

 

まず、損害を加えることを知ってとは、損害を与えてやろうという目的までは必要なく、遺留分を侵害することを知っていれば良いとしています。

 

次に、遺留分権利者に損害を加えるかどうか知っていたかの判断にあたっては、当事者の法律の知識の有無を問わず、客観的に遺留分権利者に損害を加えることになる事実関係を知っていれば足りるとします。

 

そして、具体的にどの程度の事実関係を認識していればよいかについては、
・贈与財産の全財産に占める割合

・贈与の時期

・贈与者の年齢

・健康状態

・職業などから将来財産が増加する可能性が少なく、その贈与をなしたら遺留分を侵害するといえたか

から総合判断することになります。

 

要するに、財産関係は生きていれば変動するわけですから、誰も将来的に遺留分を侵害する程度の贈与か明確に予想はできません。

でも、贈与者が高齢だったり、重病だったりといった、ほぼ今後財産が増える見込みはないだろうといえる状況で、財産の大部分を贈与してしまったような場合には、遺留分の侵害が予想可能なので、元に戻しなさいということです。

 

なお、遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたことについては、遺留分権利者が証明する責任を負います。

 

 

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