相続放棄をする相続人がいると遺留分は増えるか?
相続人が何人かいて、そのうちの一人が相続放棄をした場合、他の相続人の遺留分は増えるのでしょうか?
例えば、Aさんには、奥さんBと、子供C、Dがいたとします。
Aさんが奥さんBに全財産を残すという遺言を残して亡くなったとき、Dが遺留分を請求すると、法定相続分の2分の1が遺留分ですから、Dの遺留分は、法定相続分1/4×1/2=1/8となります。
ここで、Cが相続放棄をした場合、Dの遺留分は増えるでしょうか?
この点、相続放棄をすると、その相続人は、最初から相続人ではなかったことになります(民法939条)。
そうすると、Cが相続放棄をすると、相続に関しては、子供が1人しかいなかったのと同じことになります。
その結果、法定相続分について、Dは1/2となり、遺留分は、その1/2なので1/4となります。
では、AさんがDに全財産を残す旨の遺言を残していて、奥さんのBが遺留分を主張する場合はどうでしょう。
この場合、配偶者の法定相続分は、子供が何人であろうとも2分の1なので、Cが相続放棄をしても影響がありません。
その結果、Cの遺留分も変わりません。
つまり、相続放棄により、放棄した相続人が最初から相続人ではなくなるので、法定相続分が変わる結果、遺留分にも影響がある場合があるけれど、影響しない場合もあるということになります。
【関連コラム】
・遺留分=遺言があっても最低限守られる相続分とは?
・相続問題コラム目次
監修弁護士紹介
弁護士 本 田 幸 則(登録番号36255)
・2005年 旧司法試験合格
・2007年 弁護士登録
弁護士になってすぐのころは、所属事務所にて、一般的な民事事件はもちろん、行政訴訟や刑事事件、企業法務まで担当しました。
独立後は、身近な問題を取り扱いたいと思い、離婚や相続などに注力しています。
ご相談においては、長期的な視野から依頼者にとって何がベストなのかを考え、交渉から裁判まであらゆる手段を視野に入れてアドバイスいたします。
弁護士 鈴 木 淳(登録番号47284)
・2006年 早稲田大学法学部卒業
・2006年 法務省入省(国家Ⅰ種法律職)
・2011年 明治大学法科大学院修了
・2011年 新司法試験合格
・2012年 弁護士登録
一般民事事件や中小企業法務を中心として、交渉から裁判まで、様々な分野の案件を担当してきました。
この度、なごみ法律事務所の理念に共感し、市民の方の生活に密着した問題や、経営者の日常的に接する問題を重点的に扱いたいと考え、執務することとなりました。
ご依頼者と同じ目線に立ちながら、最善の解決策を共に考えてゆきたいと思います。