不貞慰謝料請求後の離婚慰謝料請求

2015-11-27

相手が不貞行為(浮気)をしたので慰謝料を請求したいけれど、離婚については、まだ決心がついてない場合、離婚をせずに慰謝料請求をすることができます(不貞慰謝料請求)。
では、その慰謝料をもらった後、やっぱり離婚しようと考えた場合、不貞慰謝料とは別に離婚慰謝料を請求できるのでしょうか?

 

この点につて判断した裁判例は少ないですが、広島高等裁判所平成19年4月17日判決というものがあります。

 

この裁判は、浮気した夫および夫の浮気相手に対し、過去に不貞慰謝料を請求したことがある妻が、離婚に際し、もう一度夫および浮気相手に対し、離婚慰謝料を請求した事案です。
裁判所は、まず、不貞慰謝料は、相手に浮気されたことによる精神的苦痛で、離婚慰謝料は、離婚しなければならないことによる精神的苦痛だから、違うものであるとしました。
しかし、不貞慰謝料請求のときに、既に夫婦関係が破綻しており、不貞慰謝料請求の際にもそのことが考慮されたという場合は、不貞慰謝料請求時点で実質的には離婚状態であり、かつ、その賠償を受けており、離婚届けを出すのは形式的な手続に過ぎないから、離婚届を出すという形式的行為によって、新たな損害は発生しないとしました。
そして、結論として、今回の場合は、前回の不貞慰謝料請求時点で婚姻関係が破綻していると認定され、そのことを前提に不貞慰謝料額が算定されているのであるから、離婚慰謝料は発生しないと判断しました。

 

離婚前に夫(妻)を訴えるという場合、通常は、形式的には離婚していなくても、実質的には夫婦関係は破綻状態でしょうから、多くの場合は、不貞慰謝料請求後に再度離婚慰謝料を請求することはできないのではないかと考えます。
もっとも、不貞相手のみを訴えており、その裁判の中で、夫婦関係の破綻までは認められなかった場合には、再度離婚慰謝料の請求ができる可能性があります。

 

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