慰謝料請求,財産分与などの離婚問題,遺産分割,遺留分減殺請求などの相続問題は「なごみ法律事務所」

受付時間:平日10:00~20:00

離婚と税金

離婚の際にやりとりする財産によっては税金がかかる場合があります。

主なものとして以下のものがありますが、税金に関しては弁護士は専門ではないため、念のため税理士さんや税務署で確認してください。

1 慰謝料

慰謝料については、原則として税金はかかりません(所得税法9条1項16号、所得税法施行令30条1項)。

なぜなら、慰謝料は、不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)、つまり、マイナスを穴埋めするお金であって収入があったわけではないからです。

ただし、あまりにも高額な場合には、税金を免れるために慰謝料という名目にしただけで、実質的には贈与があったと判断され、贈与税がかかることがあります。

2 財産分与としてお金をやりとりするとき

財産分与も原則として税金はかかりません(相続税法基本通達9-8)。

これは、財産分与は、夫婦で協力して築いた財産を分けたもの、つまり、元々自分のものであったけれども相手名義になっていたため、離婚に際して自分名義にしたと考えられるからです。

この場合も慰謝料の場合と同様に、あまりにも高額な場合には、夫婦で協力して築いた財産を分けたのではなく、実質的には贈与があったと判断されて贈与税がかかることがあります。

3 財産分与として不動産を移転するとき

⑴ 不動産を譲り渡す側

財産分与であっても、不動産が買った時より値上がりしている場合は、原則として譲渡所得税がかかります。

例外的に、譲り受ける側も不動産取得時にお金を出しているような場合で、その金額に応じた持ち分を譲渡する場合には、実質的に財産の移転はないので譲渡所得税はかかりません。

もっとも、譲渡所得税がかかるケースは少ないと思います。

なぜなら、譲渡所得税は、財産分与をしたときの不動産の時価から、不動産を取得したときの価格と譲渡費用を差引いた金額を基準としてかかるものです(所得税基本通達33-1の4参照)。

しかも、居住用の不動産を譲渡する場合には、3000万円までは特別控除されます(租税特別措置法35条1項)。(*配偶者への譲渡には適用されません)

また、婚姻期間が20年以上の場合には、2000万円までは配偶者控除があります(相続税法21条の6・21条の5)。

これらを利用すれば、譲渡所得税がかかるケースは少ないと思います。

⑵ 不動産を譲り受ける側

不動産を譲り受ける側は、原則として不動産取得税がかかります。

不動産取得税は、不動産の固定資産税評価額の4%(住宅の場合3%)です。

また、登記移転手続の際に登録免許税もかかります。

登録免許税の金額は、不動産価格の2%です(登録免許税法別表第一の一(二)ロ)。

こちらも、名義を書き換えるだけで実質的には財産の移転がないと考えられるような場合には税金はかかりません。

不動産登記移転手続については、司法書士さんか法務局でご相談ください。

4 養育費

養育費も原則として税金はかかりません(相続税法21条の3第1項2号)。

しかし、養育費を一括で支払うような場合は贈与税がかかります。

なぜなら、相続税法基本通達21の3-5が、「生活費又は教育費に充てためのものとして贈与税の課税価格に算入しない財産は、生活費又は教育費として必要な都度直接これらの用に充てるために贈与によって取得した財産をいうものとする」としているからです。

これを回避するには、信託銀行と契約し、毎月一定金額を受け取るようにするという方法があります(昭和57年直接税審理課通達5-5)。

なお、裁判になった場合には、養育費を一括で支払うよう命じられることは滅多にありません(*コラム「養育費を一括で支払うよう要求できるか」参照)。

5 解決金

協議離婚や調停離婚では、お金の性質を明確にせず「解決金」とされることがあります。

この場合でも、通常は慰謝料と財産分与ですので税金はかかりません。

もっとも、慰謝料や財産分与の場合と同様に、あまりにも高額な場合には贈与があったとして贈与税がかかる可能性があります。

 

【関連コラム】
コラム目次ー男女問題を争点ごとに詳しく解説-

【関連ページ】
国税庁ホームページ

 

お問い合わせ

東京都内をはじめ、千葉や神奈川、埼玉のほか、遠方の裁判所でも対応可能です。
お気軽にお問い合わせください。