面会交流の間接強制金を1回会わせないごとに20万円とした事例

2018-01-15

面会交流に関する間接強制の強制金に関する裁判(決定)例をご紹介します。

 

今回ご紹介する大阪高等裁判所平成30年3月22日決定では、1回会わせないごとに20万円を支払えとしています。

では、詳しく見ていきましょう。

 

1 事案の概要

・2013年 長子が生まれる

・2015年 父親と母親が別居

・2015年 父親が母親を相手方として、面会交流調停を申し立てる(大阪家庭裁判所)

なお、母親は、調停が申立てられるまでの間に、子を3回父親に合わせているが、調停申立て以後は会わせるのを拒否。

・2017年 調停から審判に移行し、毎月1回の面会を命じる審判がなされる。

母親が即時抗告をする。

大阪高等裁判所が、上記審判を一部変更し、当初3回は2ヶ月に1回で第三者の立ち合いを認める決定をする。

母親が上記大阪高裁決定にもかかわらず、子供に会わせなかったため、父親が大阪地裁に間接強制の申立てをする。

・2018年 大阪地裁が、1回会わせないごとに5万円を支払うよう命じる。

父親が、上記金額を不服として大阪高裁に抗告する。

なお、地裁の決定後、母親は、子を父親に2回会わせています。

・2018.3.22 大阪高裁が、1回会わせないごとに20万円を支払えと命じる。

 

2 裁判所が1回あたり20万円とした理由

 

本件の争点は、金額についてのみですが、長いのでまとめると、裁判所は要旨以下のように書いています。

 

・これまでずっと面会を拒否し続けていたこと

・大阪地裁で1回あたり5万円とされてから面会させているが、これまでの態度からすると、それが継続するかあやしいこと

・母親が歯科医師として年収500万円弱あること

・婚姻費用が月額21万円であること

 

以下、詳しく知りたい方は、原文を引用するので読んでみてください。

なお、本文中、相手方とあるのは母親、抗告人とあるのは父親のことです。

 

「相手方は、抗告人との別居(平成27年×月)の後、前件調停前後を通じ、抗告人と未成年者との面会交流を拒否し続け、前件審判手続における親子交流場面調査(平成28年×月)にも出頭しなかった。その後、本件決定が確定した(平成29年×月)ことにより、相手方は、本決定別紙面会交流実施要領に従って抗告人と未成年者を面会交流させる義務を負い、母方祖父母の協力(立会い、受渡し)を得て、その義務を履行することができたのに、第三者機関の関与に固執して、面会交流を拒絶し、原審に本件申立がされても(平成29年×月)、その義務を履行しないことを正当化し続け、原決定で強制金の支払いを命じられると、漸く面会交流に応じる姿勢に転じたものである。

このように、相手方は、抗告人との別居から約3年間、抗告人と未成年者との面会交流を拒否し続け、本決定後も、これにより定められた義務を任意に履行しなかった。相手方が上記義務を履行したのは、原決定による強制金の支払いを命じられた中でのことである。これらの相手方の面会交流に対する約3年間にわたる拒否的な態度等に照らすならば、原決定後に相手方が本件決定により定められた義務を2回履行したからといって、相手方が今後もその義務を継続的かつ確実に履行するとみることは困難である。

したがって、原決定後に相手方が面会交流に応じているとの現状を踏まえても、なお相手方に上記義務を継続的かつ確実に履行させるためには、相手方の収入や経済状況(抗告人から支払われる婚姻費用を含む。)等を踏まえ、相手方に面会交流を心理的に強制させるべき相応の額の強制金の支払いを命じる必要がある。その強制金の額については、相手方が歯科医師の資格を有し、現在まで歯科医師として稼働し続け、別件決定時点(平成28年×月)において、勤務医として年収500万円弱を得ており、その稼働能力が低減したとの事情は認められないことや、抗告人が相手方に対して支払うべき婚姻費用分担金の金額(月額21万円)などの事情に照らし、不履行1回につき20万円とするのが相当である。」

 

3 当職の意見

間接強制に関する判断ということもあり詳細が分からない部分があるのですが、別居時に子供が2歳ということを考えれば、父親が虐待でもしていない限りは会わせるという結論になるでしょう。

そして、間接強制は、本体の面会交流を実現させるためのプレッシャーであることを考えれば、母親の年収500万円、婚姻費用月額21万円という事情の下では、1回拒否するごとに20万円というのは妥当でしょう。

 

気になるのは、別居後面会交流調停申立てまでは3回会わせているという点です。

2015年に別居して、2015年に面会交流調停を申し立てていることからすれば、少なくとも4カ月に1回、おそらくもっと高い頻度で面会交流が実現していたことになります。

それが、面会交流調停を申し立てたことで、母親が反発し、約3年間会えなくなったように読めます。

そうだとすれば、調停申立てという強い手段を取ったがために、余計にこじれたように思えてなりません。

もちろん、調停を申し立てられたからといって面会を拒否するのは不当なのですが、理屈はそうでも現に約3年間会えなくなるという不利益を受けています。

この辺りは、弁護士として、単に法律はこうなっていますよというだけでなく、どのような手続きをとるのが現実的に最もメリットがあるのか慎重に判断しなければならないと強く感じる事件です。

 

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弁護士 本 田 幸 則
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