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2026年4月1日施行の改正民法において、祖父母などの父母以外の親族について、子供との交流権が一定程度認められるようになりました。
改正前民法では、親と子が会うことは面会交流権として認められていましたが、たとえ親代わりの祖父母であっても、法律が父母以外の面会交流について定めていなかったため認められませんでした(最高裁判所令和3年3月29日決定)。
しかし改正民法においては、父母以外にも密接な愛着関係がある親族と会うことは、子供健全な成長のうえで重要であるとの観点から、父母に限らず、一定の要件を充たす親族には子供との交流が権利として認められるようになりました(民法766の2第1項、離婚前については817条の13)。
両親以外の親族の子供との交流については、そもそも裁判所に申立てができる者が限定されているので、その要件を充たすことと、子供との交流の必要性の要件の2段階のハードルがあります。
① 原則:父母
子供と会いたいのが祖父母やおじおばであっても、その申立権者は原則として父母です。
たとえば、母親と一緒に家を出て行った子供について、父方祖父母が交流を求める場合、父親が自分の親と子供との交流を求める調停・審判を申立てます。
② 例外:父母以外の親族(直系尊属(祖父母、曾祖父母)、兄弟姉妹(おじ、おば)、それ以外の過去に子供を監護していた親族)
父母以外の親族が子供との交流について調停・審判を申立てられるのは、「他に適当な方法がないときに限る」とされています。
具体的には、父母の一方が既に亡くなっている場合や行方不明など、どうしても父母が申立てることができない場合と解釈されています。
なお、「過去に子供を監護していた親族」とは誰かについては、具体的な事情から個別に判断せざるを得ませんが、相当程度の期間子供と同居していたことなどが必要になるでしょう。
子供との交流が権利として認められる条件は、「子の利益のため特に必要があると認めるとき」です。
「子の利益のため特に必要があると認めるとき」とは、子供とその親族との間に親子関係に準ずるような親密な関係があるときと解釈されています。
そのような関係を証明するためには、その親族が子供と同居して子供の監護に関わるなどしてきたことを根拠づける具体的な事情を説明したり、証拠を提出する必要がありますが、具体的にどの程度親密であれば認められるかは、まだ施行されていないため未知な部分があります。
裁判官が具体例として、相当期間子と同居して監護に関わっていたこと、中学生等の相応の年齢の子がその親族との交流を希望していることなどの事情があれば交流が認められるとしてます。
ただ、私の個人的な見解としては、中学生くらいになれば、本当に会いたければ親が反対してもこっそり会いに行くので、本当に問題になるのは、もっと小さい子供の場合だと考えます。
具体的な子供との交流の内容は、ケースバイケースで定められます。
相手との関係がそれほど悪くなければ、ざっくりと「面会交流を認める」くらいになるでしょうし、関係が悪ければ、どれくらいの頻度で、どこで、どのくらいの時間会うか、受け渡し方法はどうするか、までキッチリと決める必要が出てきます。
場合によっては、webでのやり取りのみ、手紙と写真のみ、ということもあり得ます。
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【参考文献】
・東京家族法研究会「改正家族法の要点と解説Ⅱ」(家庭の法と裁判NO.59)日本加除出版