2浪して大学に入った子の生活費の請求は、婚姻費用?扶養料?

2019-11-01

2浪して大学に入った子の生活費について、別居中の妻が婚姻費用を計算する際の事情として主張したのに対し、夫が、成人しているのだから子は養育対象ではないので子の生活費は考慮対象外として争った事例です。

 

この点について、大阪高等裁判所平成30年6月21日決定は、2浪したため成人しているとはいえ大学生であるし、浪人中は夫は受験を支援していたのだから、子供は養育対象となるとし、婚姻費用算定の際の考慮要素となると判断しました。

 

大阪高裁の判断は、極めて一般的な判断だと思います。

 

子供の生活費については、未成熟子については親が面倒を見る義務があるので養育費、あるいは、婚姻費用のうちの養育費相当部分となります。

他方、子供自身が親に生活費を要求できる、扶養料という権利もあります。

子供が未成熟子の間は、面倒を見ている親が婚姻費用として養育費相当額を請求してもいいですし、子供自身が扶養料を請求してもかまいません。

他方、成熟子の場合は、面倒を見ている親が、「私がこの子の面倒を見ているんだから、養育費をちょうだい」ということはできません。

 

ここで、問題になるのは未成熟子とは何歳かです。

 

この点について裁判例は、経済的に自立できる状態になるかどうかで判断しています。

たとえば、中学を卒業し、すぐに正社員として働きだし、月給20万円をもらっているという場合は、16歳でも未成熟子ではありません。

大学に行ったので、アルバイトくらいが限度だよ、という場合は21歳でも未成熟子です。
未成年≠未成熟子なのです。

 

では、なぜ現在の裁判実務で子供が小さい場合に、20歳まで養育費を払えということになっているかというと、子供の将来は分からないので、

「一般的に働きだす年齢にしましょう。

高卒で働く人も多いけど、大学に行く人も多いよね。

じゃあ、20歳くらいで。」

という感じです(判決にこうは書かれませんが)。

 

ですから、間もなく成人年齢が18歳になりますが、その場合でも養育費は20歳が原則といわれております。

 

なお、本件は、もともと神戸家庭裁判所尼崎支部が、子は成人しているのだから、婚姻費用算定において、養育費相当額を上乗せするべきではなく、子供自身が扶養料を請求するべきとしたのに対し、不服申し立てをしています。

子供が一旦就職した後に大学に行ったような場合はともかく、浪人したとはいえ、もともと大学進学希望で大学に入学した子について、養育費ではなく扶養料とする裁判例は珍しいのではないかと思います。

実質的に考えても、総支払額は変わらないのですから、1回で解決するか、母親からの婚姻費用請求と子供からの扶養料請求の2回手続きをするかの違いだけですから、1回で解決した方が良いのではないでしょうか。

 

 

 

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弁護士 本 田 幸 則
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